LED電球について ~他の電球との違いや特徴~

住宅の照明を考えるときにまず何を考えますか?デザインでしょうか?

現在、日本は国として照明のLED化を進めています。
そんな背景もあり、照明を計画する際にベースとなるのが省エネルギー・高効率・長寿命であるLED照明です。

平成28年5月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」にて、2030年までにストック(既設)で100%普及することを掲げられました。

そんなLED照明について大まかにでも知っておくことは、これからの住宅・暮らしを考える上で重要なことだと思います。

目次

光源の種類

光源の種類の中で代表的なものといえば、白熱電球・蛍光灯・そしてLEDの3種類です。まずはこの3種類について簡単に説明します。

白熱電球(filament lamp)

1860年にイギリスのジョセフ・スワンによって発明されました。
白熱電球は、フィラメント(電球内部に見える細い線状になっている部分のこと)を熱することで発光します。

種類にもよりますが寿命は約1000時間で、クリア電球・シリカ電球・クリプトン電球・ハロゲン電球などの種類があります。ガラス(バルブ)の中に不活性ガスが充填されており、そのガスの種類によって寿命が変わります。

蛍光灯(fluorescent lamp)

蛍光灯は、両端にあるフィラメントが水銀とぶつかり紫外線を出し、その紫外線がガラス管に塗られている蛍光物質に当たることで発光します。

ドイツのハインリッヒ・ガイスラーがつくったガイスラー管が起源といわれており、寿命は約6000時間です。

LED(Light Emitting Diode)

LEDは、発光ダイオードのことで電気を流すと発光する半導体素子です。

寿命は約40,000時間といわれており、1日8時間点灯した場合、計算上では13年で寿命となります。※¹白熱電球・蛍光灯と比べて長寿命といえるでしょう。

※¹ JIS(Japanese Industrial Standards)にてLEDの規格が制定されており、”JIS C 8105-3附属書”でその寿命についても記載されています。

見た目の特徴

蛍光灯はガスを封じ込めるためにランプがガラスで覆われているという特徴があります。

白熱電球はソケットにガラス球が直接ついているような見た目をしています。それに対して、LED電球はソケットと電球の球体の間にアルミダイキャストでできた放熱板がついているという特徴があります。

性能とコスト

3つの光源の種類について数値で比べてみます。

まず価格ですが、LED電球は蛍光灯や白熱電球と比べると高価です。

白熱電球は約100~200円、蛍光灯(電球形)は約700~1200円、LED電球は約1000~3000円です。

コストだけでいうとLED電球が高くみえますが、エネルギー効率・寿命を踏まえて判断する必要がありそうです。

次にエネルギー効率(lm/W)ですが、蛍光灯は白熱電球の約4.5倍、LED電球は白熱電球の約6倍も効率が良いため、電気代が抑えられ節約にもつながります。

そして寿命に関しては、蛍光灯は白熱電球の6~10倍、LED電球は約40倍長いとされています。

白熱電球・蛍光灯と比べ、LED電球は省エネルギー・高効率・長寿命でとても優秀だということがわかります。これがLED電球が採用される大きな理由です。

LED電球の特徴

省エネルギーで高効率・長寿命なLED電球にはその他にもたくさんのメリットがあります。

LEDは応答速度が早い

まず光源別の発光の原理として、白熱電球はフィラメントに熱が伝わり発光します。蛍光ランプは紫外線をつくり管に塗られた蛍光物質に当たり発光します。

それに対してLEDは電気を流すと発光するという仕組みです。LEDは仕組みが単純であるため、点滅応答速度がとても早く、灯りがつくまでに時間がかかりません。

赤外線・紫外線の放射が少ない

LED照明の光は、赤外線・紫外線をほとんど含みません。

つまり、LEDの光はほとんど可視光線内(一般に見える光)にあるということです。それによって様々なメリットがあります。

虫が集まりにくい

LED電球には虫が集まりにくいという特徴があります。

その理由として紫外線が関係しています。

光に虫が集まってくることがありますが、虫は紫外線に対して多く集まってくる習性があります。(虫の種類にもよるみたいですが)LED電球は白熱電球や蛍光ランプと違って紫外線を出さないため、虫が集まりにくいのです。

日焼けしにくい

紫外線は日焼けの原因になるため、LED照明の紫外線をほとんど含まない光は展示品などの劣化を防ぐことができます。

発熱量が低い

赤外線をほとんど含まないLED照明は、照射部が熱くなりにくいのも特徴です。しかし内部の器具は電気が流れていて熱くなるため、放熱は必要です。

LEDは耐衝撃性に優れた材料を採用できる

LED電球は白熱電球や蛍光灯と違い、発光の過程にガラス管が必要ないため、プラスチックなどの衝撃に強い材料を使用することができます。

LEDのデメリット

良いところが多いLEDですが、他の種類の照明と比べてデメリットもあります。

LEDには光の向きがある

LED電球は指向性という特性があり、光に向かう方向があります。白熱電球と比べて光が広がりにくいため、使用場所によって明度が異なります。

他と比べて重量がある

LED電球は基盤が入っているため、他の電球と比べて重量があります。

まとめ

白熱電球、蛍光灯、LED電球の3種の特徴、そしてLEDに焦点をあてて基礎的なことをまとめてみました。

環境問題でさまざまな課題がある中、省エネルギーで高効率、そして長寿命なLED照明をまずはおおざっくりでも理解することがよりよい”暮らし”のためには必要だと感じます。その中で、照明の種類や歴史についても学んでおきたいところです。

地球のために2030年のLED照明のストック化100%に少しでも貢献すること、そしてLEDについて積極的に知識を深めていきたいですね。

時代が移り変わると文化も変わり、その変化でなくなっていくものもあります。電球についてもそうですね。寂しいですが”暮らし”をつくる中でその時代に必要なものとそうでないものをよく考えていく必要がありそうです。

 

参考文献:LED照明産業を取り巻く現状 商務情報政策局 情報通信機器課
参考文献:地球温暖化対策計画 環境省 平成28年5月閣議決定  

 

 

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この記事を書いた人

現場監督クロと、住宅設計士シロの建築士コンビが運営。


”住宅の間取りと照明”
についての知識・情報を発信中。

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