上がり框の種類と特徴

上がり框
目次

框の種類と上がり框

框とは

框は家の中の様々な場所で用いられています。框は主に見切材に使われる部材のことで用いられる場所によって名称が変わります。主に仕上げ材として正面から見える位置に取り付けられることの多い部材となります。玄関に取り付ける上がり框・付け框、建具の框、床の間の床框、縁側の縁框などがあります。

 

上がり框とは

玄関の上がる段差部分に横向きに取り付ける化粧材(仕上げ部分となる材)を上がり框といいます。上がり框には、材質にさまざまな種類のものがあります。

上がり框に対して、主に玄関の側面に同じ高さで取り付けられ、玄関の壁の仕上げの見切りとして用いられる部材を付け框といいます。上がり框と同じものを採用することが多いです。30㎜×120㎜、30㎜×150㎜程の大きさの付け框がよく用いられます。

 

上がり框の役割

 

床材の見えがかり部分を隠す役割

框はフローリング材などの小口(横断面)などを隠す目的があります。仕上げ材の角(小口部分)を見えなくするために框を取り付け、仕上げ材の周りをくるっと覆うことで、部材の断面を隠しをキレイに見せる事ができます。

 

床の仕上げ材のメリハリと繋がりを演出

上がり框は仕上げと仕上げが変わる段差の取り合い部に取り付けられます。仕上げ材どうしのジョイント部分に框が入ることで、仕上げのメリハリや繋がりを演出することができます。その空間を設計するうえで用途ごとのメリハリをつくりたいのか、それとも一体的につながりを重視したいのかで框の選定が変わってくるかと思います。

 

框の肌ざわりも大切に

框の取り付けられる部分は仕上げ材の角、一番よく見える部分に取り付けられます。目につきやすく人が触れやすい部分に取り付けられるため、框の肌触りも重要なポイントとなります。

 

框は装飾としても楽しめる

床仕上げや壁・天井は誰もがこだわって選びます。それらと同じく意匠面で重要な役割があります。例えば、壁にアートを飾るときにそのアートに合わない額縁にアートがおさまっていたらどうでしょうか。框の意匠がその周りのものや空間を左右するポイントになります。空間に框のラインがどう入ってくるかでその空間の印象がガラッと変わります。

 

耐久性・耐水性を考慮して選定するとよい

家の中でも玄関は人通りが多く、靴の脱ぎ履きによって汚れやすい場所であるため、上がり框にも耐久性・耐水性があるほうが便利です。様々な框があり意匠面で判断しがちですが、まずはこ耐久性の・耐水性について考えると良いかもしれません。

 

 

上がり框として使われる材料の種類

框の役割を知ったら次は材質について見ていきましょう。

上がり框には、木・アイアン・ステンレス・タイルなど他にもたくさんの種類があり、その種類によって玄関のイメージがガラリと変わります。

 

木製の上がり框

有機的な木目が玄関を暖かい空間をつくります。木の見た目の柔らかさ、あたたかみが玄関の雰囲気をつくります。木材の構造(無垢・挽板・突板・シートなど)、材種、色などで玄関の印象が変わります。

 

無垢框

無垢材は木目がはっきりしており、その凹凸からも自然の木そのものを感じることができます。調湿機能が高く水分を吸収してくれるため、肌ざわりもサラサラで木の感触を楽しめます。ウレタン接着材で土台と、そして下部の木下地と接着させます。

挽板框

芯材として集成材などを用い、表面に厚く挽いた無垢材を貼り付けた框です。種類によって無垢材の部分の厚みが異なりますが(20㎜程です)、無垢のものと一見遜色ない意匠となります。芯は集成材などの材を使用しているため、木目の奥行き感、木のうねりや調湿機能など木本来の機能が無垢材に比べて少なくなります。

突板框

芯材に対して、薄くスライスした木材を貼り付けた框です。挽板框よりも化粧の木材の部分が薄く(1㎜以下のものが多いです)その分木目の凹凸が少ないです。無垢に対して比較的安価です。木らしさよりもスタイリッシュでモダンな雰囲気がでます。

L型框

主にリフォームの際に既存の上がり框の上に取り付けるタイプのL型の框のことです。フローリング用の接着材を接着面に塗布し、フローリングで隠れるL字の端部から斜めにスクリューネイルを打ち込み取り付けます。既存の框の上から取り付けることができます。

樹種

玄関の上がり框は玄関の段差部分につけるというその性質上、人の肌や靴が触れやすく痛みやすい部材となります。また玄関は人の通りも多く上がり框の角はよく擦れます。ですので、比較的耐久性のある堅木(ハードウッド)がよく使われています。檜、ナラ、チークなどがよく使われます。

 

黒皮鉄(アイアン)の上がり框

框に薄い鉄板が使われることもあります。4mm程度の黒皮鉄を框として段差に貼り付けるように取り付けます。

黒皮鉄は年が経つと色合いも変わってくるため経年変化を楽しむことができます。

また黒皮鉄は家具や階段、壁の一部に使うこともありますので、玄関の框とセットで家の細部に黒皮鉄を使うことで玄関の見切りとして、そして家の中細部に黒皮鉄を採用することで一体感も保つことができます。

塗装仕上げのアイアンもあり、色を合わせることもできます。

土間のモルタルやホールのフローリングとの相性も良い素材でスタイリッシュな雰囲気をつくります。

 

ステンレスの上がり框

薄いステンレスの板も框材として用いられます。ステンレスの框は玄関をスッキリさせ、シャープな雰囲気を演出してくれます。

ステンレスは錆びにくく水に強い特徴があるため、玄関框としての性能を備えているといえます。

 

タイルの上がり框

玄関の土間仕上げ材としても使用されるタイルは、耐久性があり汚れにも強いため、上り框にも使われます。土間から框までタイルで揃えると、玄関とホールの一体感を演出することができます。

 

上がり框の材質に迷ったときは床材と合わせる

上り框の材質に迷ったときは、床材と揃えると空間を邪魔せず無難な仕上がりとなります。

実際に玄関のホールがフローリングの場合、フローリング材と同種類の材の框が使われることがよくあります。フローリングと框の色合いが調和することで、玄関とホールの一体性が生まれます。

框を目立たせたくない場合や空間につながりや一体感を持たせたい場合は、ジョイント部にあたってくる仕上げのどちらか(例:ホール床材or玄関土間仕上げ)と框を揃えると違和感が少なくなるかと思います。

 

まとめ

框は床材や壁材と比べると目立ちづらいですが、機能的にも意匠的にもとても重要な部材です。

玄関入って目に入る上がり框は、玄関とホールの繋がりや玄関の雰囲気を左右します。様々な材質があるので、耐久性・耐水性そして意匠性を考えてこだわって決めるとよいでしょう。

 

 

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この記事を書いた人

現場監督クロと、住宅設計士シロの建築士コンビが運営。


”住宅の間取りと照明”
についての知識・情報を発信中。

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