寝室の明るさはどのくらい必要? ~照明計画のポイント~

寝室

暮らしの中で一日の始まりと終わりを迎える寝室は、心地良く一日を過ごすためにとても重要な部屋です。朝は体調万全で清々しい一日の始まりを、そして夜はリラックスできて一日の疲れを癒して寝床につける、上質な空間をつくる必要があります。

1日24時間の中で、睡眠時間が6時間だとすると、1日の25%の時間は寝室で過ごしていることになります。仕事や学校など、昼間10時間ほど外出する場合は、家にいる時間が14時間となりますから、家にいる時間の40%以上を寝室で過ごすことになります。

照明の配置や色は、身体に与える影響が大きいと言われています。照明の光の方向、明るさや色合いによっては不快に感じてしまったり、場合によっては寝室の目的である睡眠が阻害されてしまいます。

寝室の照明計画は、慎重にそして丁寧に計画する必要があります。

 

目次

寝室に必要な明るさは?

JISでは照度の設計基準が定められており、住宅の寝室も作業ごとでそれぞれ基準が定められています。その基準では、寝室での読書・化粧は500lx、全般が20lx、深夜が2lxと定められており、書斎での勉強や読書は750lxが基準とされています。(出典:JISZ9110:2011 照明基準総則)

この基準から、寝室の明るさは20lxを基準として場所ごとに、そして時間帯で照度を変えて計画することが必要であるということが分かります。

 

一畳に必要な明るさ

続いて照明自体の明るさ(ルーメン:lm)から、広さに対して必要な明るさを考えてみます。ここでの明るさは寝室という用途を考えず、あくまでも広さに対してです。

”シロとクロ”が明るさの計画をする際は、1畳あたり300~600lmの明るさを目安とし、暮らし方や環境に合わせて調整して計画しています。

例えば、6畳の寝室の場合は、中間値の450lm×6畳で2700lmをランプの明るさの目安として、そこから諸条件を勘案して調整していきます。

また、日本照明工業会の電球形LEDランプ性能表示等の ガイドラインでは、白熱電球60w相当は810lm以上を基準とされています。

例えば60w相当の照明を付ける場合、6畳間に4灯つけることで合計が3240lm以上となり、目標値の2700lm以上の明るさは確保できるということになります。

一畳あたり450lm(300~600lm)程度ということを頭に入れながら、寝室の場所ごとに必要な照度を考えて、明るさを考えるとよいでしょう。

 

寝室には電球色の照明がおすすめ

寝室の照明の色合いはオレンジ色(電球色)の照明がおすすめです。

電球色の照明は、あたたかみのある色合いで、空間に落ち着きを与えてくれるため、リラックスした空間を演出するのに適しています。

また、色温度が低い程、睡眠の質をコントロールしてくれる睡眠ホルモンであるメラト二ンの分泌がされやすいとも言われています。

 

寝室の照明計画のポイント

眩しくならない足元にダウンライトを計画する

寝室の照明計画で重要なことは光源が直接目に入らないように計画するということです。

寝室にも良く採用されるダウンライト、その配置でよくありがちなのが、部屋全体に均等に配灯するパターンです。部屋を均等に明るくしてくれる配置ですが、部屋のどの位置にベットをおいても目に光源が直接入ってしまう可能性もありますので、注意が必要です。

寝室の計画ではベットの位置をあらかじめ想定しておき、ダウンライトは足元を照らせる位置に計画するのがおすすめです。足元に計画することで光源が直接目に届くことはなく、眩しくない照明計画をすることができます。

 

グレアレスダウンライトを活用して眩しさを低減する

グレアレスダウンライトは眩しさを抑えてくれるダウンライトのことです。

一般的なダウンライトと比べて、配光の範囲が狭いため、横から見ると一見灯りがついていないように見えることもあるくらい眩しさを低減できます。寝室の照明にはおすすめのライトです。

 

ダウンライトと間接照明を組み合わせる

ダウンライトを足元に計画した場合、枕元には間接照明を計画すると良いです。寝室の明かりは直接目に光を入れないということを意識して、明るさの必要のない枕元は壁や天井に仕込む間接照明で計画するのもおすすめです。

 

ベットサイドへ持ち運べる置き型照明を活用する

間接照明の他に、ダウンライトとスタンドライトを併用して枕元の明るさを確保するのもおすすめです。スタンドライトは持ち運びができるので、ベットの位置に合わせて照明の配置を自由に変更できることも魅力の一つです。

 

寝室にペンダントライトでコーナーをつくる

寝室のベッドサイドには、ペンダントライトを計画するのも良いでしょう。また寝室の中に読書コーナーなどのスペースを計画し、そこにペンダントライトを1灯吊るすという計画もおすすめです。寝室という1つの空間に明るい場所と暗いの場所ができることで深みや奥行きを与えてくれます。

調色・調光・時間設定のできる照明を採用する

照明には色や明るさを変えることのできる調色・調光機能のある種類の照明もあります。ものによってはスマホと繋げて調色・調光を簡単に設定できたり、設定した時間になると照明の色や明るさが自動で切り変わる照明もあります。

時間帯によって色や明るさを自動で調整できる機能があるものは、毎日設定する手間も省けて同じ時間に切り替わってくれるため、生活リズムを整えることができます。

 

まとめ

今回は寝室の照明計画のポイントについてまとめました。

寝室は暮らしの中で多くの時間を過ごす家の中でも重要な空間であり、照明の計画も慎重に考える必要があります。暮らしや環境にあった照明の配置・明るさとなるように、丁寧に計画していきましょう。

 

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この記事を書いた人

現場監督クロと、住宅設計士シロの建築士コンビが運営。


”住宅の間取りと照明”
についての知識・情報を発信中。

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