調理などの細かい作業をする空間であるキッチンの照明は、暮らしにおいてとても重要な場所です。調理以外にも家族が集まる場所でもあり、照明でおしゃれに演出したい空間の一つです。
今回はキッチンの照明について、その役割や特徴、選び方について紹介します。
キッチンの明るさは?
キッチンの明るさは、日本産業規格で規定されており、全般で100lx、細かい作業をする流し元などは300lxと規定されています。(参考文献:JISZ 9110:2010 )
lx(ルクス)とは、大まかにいうと照らされた場所の明るさのことです。
キッチンは、包丁などの刃物を使用する場所でもあるので、安全面も考え、なるべく明るく計画すると良いと思います。また、食材の鮮度や色味を確認するためにも、手元の明るさが必要です。
キッチンの照明の色合いは?
キッチンがダイニング、リビングと繋がっている場合、照明の色合いを統一して計画することを基本として考えると良いです。キッチンの全体照明の色合いは、迷ったら電球色がおすすめです。
キッチンの作業する場所、流し元などの手元の明るさ、見え方を重要視する場合は、流し元灯(棚下灯)などは昼白色の照明を計画するのがおすすめです。
リビング、ダイニングの照明が電球色で、キッチンは少し雰囲気を変えたいという場合、電球色よりも色温度の高く、昼白色よりは電球色に近い色合いである温白色の照明を採用すると、爽やかでスッキリとしたキッチンを演出してくれます。
照明の色合いは空間で統一することが基本ですが、最近は空間を間仕切りで分けずに一体的に計画することが多いので、キッチン全体の照明は電球色で計画し、手元の照明は昼白色で計画するなど、スペースごとに色温度の違う照明を計画してみても良いです。
美容院やカフェなどでは、スペースごとに照明の色合いを変えているお店もありますので、そういった場所に訪れた際にイメージを膨らませてみるのもおすすめです。
キッチン全体の照明の種類と選び方
シーリングライトでキッチン全体を明るく照らす
シーリングライトは、キッチン全体を明るくしてくれます。その満遍なく広がる灯りが手元作業の明るさも確保してくれます。
4畳の広さのキッチンであれば、小型のシーリングライトや細長い形のベースライトがおすすめです。近年はコンパクトな薄型のシーリングライトも多く、それらを採用することで天井のでこぼこ感を少なくし、圧迫感のない開放的な空間を演出することができます。
ダウンライトでスッキリしたキッチンに
部屋の雰囲気に調和しやすいダウンライトはキッチンの照明としてもとてもおすすめです。
キッチンの広さによって、ダウンライトの灯数や間隔を決めていきます。キッチンが4畳であれば、ダウンライト2灯(100w相当)をキッチンの作業スペースの中心から均等に振り分けて計画し、そのほかに流し元灯や棚下灯を計画すると良いでしょう。
キッチン全体に満遍なくあかりが欲しい場合は、通路も含めて均等に3灯を計画すると良いです。
また、キッチンは調理器具や食器など沢山の物がある空間でもあります。空間的にスッキリ見せたい場合は、ダウンライトの個数をなるべく少なく計画することで天井をスッキリ見せることができます。
ダウンライトは必要最小限の灯数を計画し、明るくしたい空間には別途、他の照明を検討するという計画がおすすめです。
ダウンライトはホコリが溜まりづらく衛生的
ダウンライトは、天井内に埋め込むため器具にホコリが溜まりづらいです。衛生的に綺麗に保ちたい空間であるキッチンは、ホコリが溜まりづらいダウンライトとの相性が良いですね。
シャンデリアでキッチンを華やかに彩る
キッチンという空間は衣食住の食をつくる、とても大切な空間です。そんな住まいの中心であるキッチンを彩ってくれるのがシャンデリアです。
シャンデリアは、アイランドキッチンやペニンシュラキッチンなどダイニング側に作業台があり、キッチンの作業スペースを広く計画できる場合におすすめです。そんな空間をシャンデリアが華やかに染めてくれます。
シャンデリアは器具が大きいというイメージがあるかもしれません。最近では、計画しやすい大きさや形のシャンデリアもたくさんあるので、まずはキッチンの形に合わせて選んでみることをおすすめします。
眩しくなくおしゃれなキッチンをつくる間接照明
キッチンの吊り戸棚や、壁や天井の仕上げに照明を仕込んだ間接照明は眩しくなく、おしゃれな空間を演出できます。
間接照明は暗いイメージがありますが、思ったより明るさが取れます。間接照明を主として計画し、補助照明として手元灯を考えると良いでしょう。
キッチンの天井をダイニングよりも20センチ程度下げた下がり天井とし、その段差の部分に照明を仕込むなどの方法もあります。
間接照明は、光源をしっかり隠すことと他のものへの反射で器具が見えてしまわないようにすることが重要となってきます。
キッチンカウンターの照明の種類とおすすめの選び方
キッチンカウンター上部の照明は、ダイニングからも器具や灯りが見えるため、特におしゃれに計画したいです。ダイニングとキッチンという別空間を繋げるとても重要な役割をもっています。
ダウンライトをスポット的に計画して空間を演出する
ダウンライトをキッチンカウンターの上部に計画することで、空間がとてもスッキリします。
カウンターを挟んで対面で家族で会話をする際も、灯具やシェードで視界を遮られることがないです。
ダウンライトにも、大きさやあかりの広がりに種類があり、スポットライトのように、スポット的に灯りを演出することができるタイプもあります。
ダウンライトの穴の大きさが5センチ程度のものや、真下方向に光が多く集まるピンホールダウンライトなど、様々な種類があります。
ペンダントライトでカフェのようなおしゃれなキッチンをつくる
キッチンカウンター上にペンダントライトを並べるとカフェのようなおしゃれな空間が演出できます。
天井から吊り下がってるその風貌が、どこかクラシカルな雰囲気をつくります。電球が剥き出しになっているペンダントライトもあり、クラシカルな雰囲気を出してくれるため、とてもおすすめです。
また、小さめのペンダントを複数並べると、あかりの濃淡が落ち着いた雰囲気の空間をつくりだします。
複数並べる場合は、地震時などの安全対策も考えて、ペンダントライトの間隔を少し広めに計画しておくか、ペンダントライトの灯具の長さを変えて、揺れても器具同士が衝突しないようにしておくと安心です。灯具の長さを変えるだけでも、空間の雰囲気がかわりおしゃれになります。
キッチンカウンターの上部のペンダントライトの高さは?
キッチン側では調理を、カウンターを挟んだダイニング側ではカウンターで食事をと、キッチンカウンターはキッチンとダイニングを繋ぐ役割をもちます。
キッチン側からカウンター越しにテレビを見たり、会話をしたり、料理の配膳でお皿を渡したりする空間のため、ペンダントライトの高さはとても重要です。
キッチンカウンター上部のペンダントライトの高さは、床面から180センチ〜190センチ程度がおすすめです。
天井高さを2.4メートルだとするとシェードや電球部分も含め50センチ程度の高さのものをベースに演出したい雰囲気を考えながら、灯具の長さを決めていくと良いです。天井高さとの関係もありますが、灯具が長いほど、目線の位置が下がり落ち着きの感じるキッチンカウンターを演出できます。
ダクトレールで照明の位置を自由自在に
キッチンカウンターにダイニングテーブルをくっつけて配置したりと、ダイニングの配置換えはよくあることです。暮らしの変化の中で、照明計画も順応させて変えていく必要があります。
キッチンカウンターの照明の上に、ダクトレールを仕込んでおくことで、灯数や位置の変更ができるようになります。
天井にダクトレールを取り付けると天井にレールが付くため、レールの向きや長さなどをあらかじめ検討しておくことでデザイン性も上がります。
何よりその可変性がダクトレールの長所であり、キッチンとその周りの空間に合わせた配置の変更で空間を調和させます。
スポットライトでキッチン周りの空間を演出
キッチンカウンター上部に取り付けたダクトレールにスポットライトを複数計画し、それぞれの向きを好みの方向に向けて空間の演出を楽しむのはとてもおすすめです。
キッチンカウンターにあかりを向けてみたり、時にはダイニング側や壁を照らしてみたりと、あかりを散らして楽しむことができます。
スポットライトによって灯具の回転できる範囲が決まっていますので、確認しておくと良いでしょう。
キッチンの流し元灯(棚下灯)で手元を明るく、機能的に
流し台や調理台を照らすキッチンライトは、手元の明るさを確保するために重要な照明です。
食材の鮮度を色合いで確認したり、お皿を洗う際に汚れがとれているかをしっかりと見るためにも適度な明るさが必要です。
流し元灯は、昔ながらのキッチンの照明というイメージがあるかもしれませんが、今では丸みのあるものから角々したものまで様々な形があり、大きさもコンパクトでスタイリッシュなものから、インダストリアルなデザインのものまで幅広くあります。
まとめ
キッチンの照明には様々な種類があり、キッチン全体と手元のあかるさを考えて計画する必要があります。また、キッチンとダイニングの繋がりや、将来の間取り変更の有無を考えて、場合によっては可変性も踏まえた器具選びをしていくとよいでしょう。
キッチンカウンターや流し元の照明もこだわって選ぶことでキッチンがより機能的で素敵な空間となることでしょう。
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