階段の照明の特徴や選び方のポイント

階段と照明

階と階を繋げる役割をもつ階段照明は、安全性そして意匠性においてとても重要な役割があり、階段の種類や空間構成によって照明計画のポイントも変わります。今回は階段の種類から階段照明のポイントまでみていきましょう。

 

目次

階段には5つの種類がある

階段は下記5つの種類に分けることができます。

直階段・・・まっすぐ上がる折返しのない階段

かね折れ階段・・・階段途中でL字型に向きが変わる階段

折り返し階段・・・階段途中でU字型に向きが変わる階段

カーブ階段・・・階段が曲線を描くようにカーブしている階段

螺旋階段・・・階段が円を描くような形状をしている階段

また、上記階段の仕上げの違いとして、階段の蹴込部分に板がついている箱型階段と蹴込がついていないスケルトン階段に分かれます。箱型階段の場合は階段下が収納スペースや部屋となることが多く、スケルトン階段はリビングに設置することが多く、下がその部屋の一部となります。

これら階段の違いで、照明の計画も変わっていきますので、階段と照明はセットで考えると良いです。

 

階段の照明は40W~60W相当を目安に計画

階段は躓いてしまうととても危険なため、足元の明るさの確保が重要です。特に1段目や最上段、そして踊り場等の段の始まりがある部分は躓きやすいため、段の始まりを認識できる明るさが取れている必要があります。

しかし明るすぎるとデメリットがあるので注意が必要です。

例えば、リビングなどの部屋から2階に上がるときに明るさに違いがあると、明るさの違いで段を踏み外してしまうことがあります。そういったことがないように回りの空間とバランスの取れた、落ち着いた明るさとなるように計画してみましょう。

階段の照明の明るさを検討する際は、白熱電球40W~60W相当を目安に考えてみましょう。天井が高い場合や階段が広い場合は照明の数を増やすか、壁付けの照明を計画して調節するとよいでしょう。また、光の方向によっては暗くなってしまう箇所が出てくるので、そこにも注意して計画する必要があります。

 

階段の照明の色合いは電球色がおすすめ

階段は、寝る前の寝室への動線や深夜のトイレに向かう動線となるため、色温度が高すぎると目が覚めてしまったりと、睡眠に悪い影響を与えかねません。

ですので、照明の色は色温度の低いオレンジ色の電球色がおすすめです。

電球色の照明は、あたたかみがあり落ち着いた色合いです。リラックス効果があると言われていますので、夜間通ることの多い階段の照明は電球色が適しているといえます。

 

階段の照明の種類と計画の際のポイント

ペンダントライトを階段の中心に

ペンダントライトは天井から吊り下げて使う照明です。

階段の中心にペンダントライトを計画すると、その階段が単なる上り下りする通路ではなく一体感のある空間を演出します。階段にメリハリのある表情をつくります。

ペンダントライトを階段に設置する場合は、階段の広い範囲を照らせるように高さを調節すると良いでしょう。バランスよく複数のペンダントライトを計画し、足元の明るさを確保すると安全対策になります。

また、ペンダントライトは灯具が長いので、頭がぶつからない高さになるように考える必要があります。

ペンダントライトについてはこちら↓の記事をご参照ください。

シーリングライトで階段を満遍なく照らす

シーリングライトは、階段の空間をバランスよく明るくしてくれます。壁付のシーリングライトもあり、階段の壁に取り付けることで空間をバランスよく照らしてくれます。階段の天井高さによって設置位置を考える必要があります。

また、シーリングライトの明かりは満遍なく広がるため、階段の安全面を考えると、機能性のある照明といえます。

シーリングライトについてはこちら↓の記事をご参照ください。

 

階段のシャンデリアは天井の高いところに取り付ける

ガラスなどで装飾されたシャンデリアは空間に高さのある階段にぴったりです。

多灯式で、装飾性が高いシャンデリアを階段に飾ることで、階段がその空間の主役となります。シャンデリアは鑑賞する楽しみがありますので、程よい距離感を演出するために天井高さのある階段途中などに計画するとよいでしょう。

シャンデリアにも様々な種類がありますので、階段の種類や空間構成に応じて選ぶと良いです。

階段の回りに空間が広がっていて、玄関やリビングなどから階段が見える場合、階段にあるシャンデリアが視界に入るととても素敵な空間となります。

シャンデリアについてはこちら↓の記事をご参照ください。

 

ブラケットライトの壁から灯すあかりで空間に彩りを与える

壁に取り付けるタイプの照明であるブラケットライトは、廊下同様に階段の空間にも調和します。

紹介したように、階段には様々な種類があるため、ブラケット照明を階段の長さや形状に合わせて多数設置すると効果的に明るくでき、安全も確保できます。

ブラケット照明は壁に取り付けるため壁に凹凸をつくります。そのため、通行する際のことを考えて、事前に高さや位置の検討を行っておくと良いです。低すぎると頭がぶつかりそうになり、高すぎると照明が視界に入らずせっかくのブラケット照明の意匠性が下がってしまいます。

ブラケット照明を選ぶ際には照明の奥行きをしっかりみておくことがポイントですね。

ブラケットライトについてはこちら↓の記事をご参照ください。

 

フットライトで階段に眩しくないあかりを

フットライトは目線から遠い位置に光源があるため、眩しく感じにくいです。

また、足元をしっかり照らしてくれるため、階段の踏み外しによる躓きを防ぐ対策にもなります。安全面としても優秀ですね。

つまづきを起こしやすい上下の1段目と踊り場をベースに明るさを考えて個数や配置を計画するとよいです。壁に組み込まれたフットライトもあり、おしゃれなものも多くあります。

フットライトについてはこちら↓の記事をご参照ください。

 

階段踊り場はコーナー照明がおすすめ

かね折れ階段や折り返し階段などは階段には角(コーナー)ができ、照明を置く場所として適しています。

階段を使う際は、階段の内側に沿って上り下りするため、外側のコーナー部には物をおいたりすることができるスペースができます。ブラケットなど壁に取り付ける照明は奥行きがあるため、コーナーの空いたスペースに計画することで、歩く際にジャマにならず、使い道の少ないコーナーを活用できるためとても合理的に階段を明るくします。

照明には壁と壁の入隅に取り付ける、コーナー専用の照明もあり、デザインも様々なものがあります。

 

階段下収納の照明のポイント

箱階段の場合、階段下に収納部屋や収納スペースが計画されることがあります。階段の下に計画されるため、天井高さが低かったり、奥行きが長かったりします。

そのような空間は、暗くなりやすいので、たとえ収納であっても、階段下の収納には照明を計画することをおすすめします。

また、階段下収納の天井は階段に沿って斜めになっていることも多いため、照明の選び方にも注意が必要です。斜め天井にダウンライトを計画する際は、灯りの角度を調整できるユニバーサルダウンライトを計画するなど、眩しさを低減する方法を考えておくべきです。

また、壁に取り付けるブラケット照明も階段下の空間を満遍なく明るくしてくれるため、おすすめです。

 

階段手すりと照明の組み合わせを活用する

階段手すりには照明が組み込まれたものがあります。手すりの裏側に照明が仕込まれているため、眩しくなく手元や足元が明るくなり、安全性にも優れています。

また、造作の木製の手すりに照明を組み込む方法もあります。様々な形の木製手摺が造作されておりSNSなどを参考に検討してみると面白いでしょう。

手すりに照明を組み込むと階段全体をバランスよく照らし、そして手すりに隠れた照明が間接照明としておしゃれな空間をつくってくれます。

注意点として、階段下から手すりを見たときに、手すり下の光源が眩しく感じることもありますので、下から手すりを見上げることを想定して計画する必要があります。

階段手すりの照明は、安全面、そして意匠面で効果的ですね。

 

まとめ

階段の照明にはたくさんの種類があります。

どの照明を計画するにしても、安全面を考えて灯りの位置を試行錯誤することで、安全で素敵な階段の空間をつくることができます。

階段を上り下りする際に手元足元がしっかり見えることを第一に優先しながら、おしゃれな空間をつくることを心がけてお気に入りの照明を計画してみてください。

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この記事を書いた人

現場監督クロと、住宅設計士シロの建築士コンビが運営。


”住宅の間取りと照明”
についての知識・情報を発信中。

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